疾風夜
岡崎師

疾風夜

薔薇の鎖 風を閉じ込めた部屋
揺れる群青の窓辺で僕は、白い羽根を広げる
静かに散る、金色の唄 か細い息で、世界地図を描く
指先に砕けた、きみの肖像 土と血の味が、にじむ
歪んだ外の世界へ、この窓を開けて 淡い景色へ飛び込む、
急速に加速する 青の気配が肺を包む、
薄くくぐもった世界 風景の破片が僕の、
背中から流れ出た 血と混じりあい花弁の様に散っていく
羽根の先で、鈍い疾風をボクは感じた
奪われた 空気を光と纏い、あの月をめざした
ふるえた 溶け入りそうな月が浮かんだ
片眼に流し込んだ、骨の液体が
夜に響き
胎児の歌が
遠退く土と
忘れ逝く残響とが
鋼鉄の冷える夜に覚醒した。
月の刃音は突刺さる


自由詩 疾風夜 Copyright 岡崎師 2010-05-17 17:14:20
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