さようならと見送った季節に
亜樹

片足立ちのフラミンゴは
あんなに綺麗に直立不動
両足を使って立ったって
私の世界は揺れている。

にゃあ、と泣く猫の声に誘われて
軒下を覗けば
逃げ遅れた春が
六つの目玉で睨んでくる。

牡丹がね、咲いたんだよ
(今はもう、散ってしまったけど)
燕がね、鳴いたんだよ
(今はもう、聞えないけど)

片足しかない案山子が
あんなに綺麗に直立不動
両足を使って立ったって
私の心は揺れている。


自由詩 さようならと見送った季節に Copyright 亜樹 2010-05-16 16:34:43
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