"森"のはなし
中村 拓人

"森"のはなしをしよう
実家の裏側にある
"森"のはなし


"森"はプラスチックと金属でできていた
"森"にはいくつものCDが(カラスを威嚇するために)
ぶら下げられていた


ときどきビニール袋がとんできて、あちらこちらにひっかかっていた


そこに住みつくひとはだれもいなかった
何かの規則性をもってこわれた洗濯機が配置されていた
ところどころに大根が植えられていた


毎日父は犬をつれて"森"にでかけた
犬はそこでマーキングをした


僕はそこで笛の練習をしたり
友だちをつれてきて歩いたりしたが
最後まで"森"になじめずに家をでた


こないだ実家に帰ったとき
僕は父と"森"で体操をした
ジャンプをしたり首を動かしたり……
空がとても晴れていて
僕はなぜかなみだがながれた
嘘とかではなく
とても素敵な日になった


"森"は世界中いたるところにある





自由詩 "森"のはなし Copyright 中村 拓人 2010-05-02 23:13:11
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