かざみどり
tomoaki.t

多くが欠けている
垂直に切り立つ湖面の繭に
かざみどりがある。
レンズは青根蔓を束ね
夕方が視域を転げ回る。
深さは灰いろとなって(青いろを揺り起こし)、
湿地帯の風の注ぐ
その湖に
パレットの絵具は食われて
いろんな色の煙に
水底はつつまれた。
(かもしれない 、)
と言うのは
湖面の向こう側の
かざみどりが、
屋根が、
家が、
曇る、野原にあるのか
湿った窪地にあるのか
そもそもそちらの世界が
ふくらんだ湖面の奥
揺られているからで、




湖の厚さは、
どんどん増大していく。
巨大な線香花火が湖底で燃えているように
煙は湖底と湖面を引き離す。
かざみどりの像はいつまでも幼くて、
僕は歳をとっていくので
何も見えないことはないかもしれないけど、
たまに
湖水が清んだり
僅かにだけ溢れたり
たまに

湖の向こう側に見える。




自由詩 かざみどり Copyright tomoaki.t 2010-04-19 19:05:35
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