木陰
tomoaki.t



、歩いた後に並木道に移り、私はすんなり葉
に包まれた両腕を掻き分けると血管がある。
足元で視線は蹲ると、浸透して赤く土を染め
た頃に複雑な模様を垣間見る。なだらかな人
差し指を引き攣るときあらわれた翳りが、足
音を二重にして漸く時間に引っ掛かると、降
り止まぬ砂音が滅して明るくなる奥が遠くて
近付く。「私であっても」と微笑み顔が打ち
付けられる声をあげても、すぐに乾いてしま
う暑さに別れを結ぶ昼の収まりは水溜まりの
姿に、ゆるく反映してその風景で解かれる人
形の糸屑を見送る。




自由詩 木陰 Copyright tomoaki.t 2009-11-11 18:37:41
notebook Home 戻る 未来