きいて欲しいの
朧月

きいて欲しいのに
頷かないといけない
人は話したがりのイキモノ

話す呼吸のつなぎ目を
狙って割り込まなければならない

うんうん の数が多いほど
わかるよ の数が多いほど
あなたが近づいてくるのが わかって
首を動かすのがこわくなる

唇のかたち 肯定にして
視線は まとを絞らずに
そのへんの空間にいる 妖精でも
眺めながら 空気にぐちをこぼす

薄く開いた唇で息をする
大きくあけたとたんに
いろんなもんがでてこないように
顔の筋肉を意識している

だれもいない部屋の
大きな鏡の前で
いいたいことを いっぱい言う

お月様なんかに 言っちゃだめだ
星なんかに 言っちゃだめだ
きっと空からふってしまうから

人でなければならないから
鏡の中の だれかさんに
きいてもらうよ 私の言い分



自由詩 きいて欲しいの Copyright 朧月 2010-04-01 13:49:14
notebook Home 戻る  過去 未来