笹子ゆら

 
簡易包装で愛情を逆撫でして、テレビ放送で愛欲を売り物にする。
たいしたものは今更ないけど、発情する身体は求めあうことを忘れようとせずに、疼く芯を自らの手で慰めた。



ア、と声が漏れて
わたしの底が崩れて
それが到達点なら
なんて馬鹿馬鹿しい
馬鹿馬鹿しい、こと



残るのは侘しさ、誰か抱かれていたはずの体温。思い込みで触れた部位にはもう食指も動かず、塗れた夜に一人呻いた。世界にわたしが沈んでいく。息を止めて、存在も消えて。それでも乳房の膨らみは消えない。
確かに言い切れるものがないから、私たちはよがるのに。真実ならば浅ましいし厭らしい行為を、今日も明日も繰り返す本能。
どうしてもわたしが女であるという事実は消えることはなくて。欲望が自惚れて、触れるたびに、酷く汚らわしく、切ない。



満たされると言う名の孤独に打ち拉がれて
甘い囁きは耳の中で熱したチョコレートのように融けた
素肌に刷り込まれていくその甘さが欲望となって落ちていくから
また誰かを引き摺りこんでいく



冷たい視線に毒を混ぜて、現代社会のモラルを棄てて、夜には孤独を金で売って。それでも、日が昇ることを知っているから、暁に眩しい世界を片手間に愛した。
爆ぜるまやかしをこの手に収めて、這う指先に一時の余韻を求める。
今日もまた、退屈を凌ぐよ。





轟く未来は知らない。今あるのは、小さな倦怠感を胸に抱いたままの、




自由詩Copyright 笹子ゆら 2010-03-16 14:20:35
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