ラブレター
アマメ庵

電線の向こうの 屋根の向こうに
夕陽が沈む
新聞配達のエンジン音が
近づいて また遠ざかる

五日が過ぎた

君への想い
郵便の小父さんに託した僕は
卑怯だったのかも知れない

カブの音が聞こえると
君の家に 郵便が届く光景を想像する
十四階にある君の部屋では
聞こえないのだろうけれど

携帯電話は 押し黙ったまま

ぼくの真剣な想いを
ゆっくりと考えて欲しいから
電話は掛けない
メールもしない

けれど 君から連絡がくることは もともと少ないんだよね

万年床に仰向けに転がる
テレビも付けず
冷蔵庫のモーター音を聞く
空の色がゆっくりと変わる
時計がコツコツと鳴る

手紙 届いただろうか
想い 届いただろうか

郵便事故があったかも知れない
或いは 君はすでに返事を書いているかも知れない
こんなことなら 書留にすれば良かったかな

六時になったら
炊飯器のスウィッチを入れよう


自由詩 ラブレター Copyright アマメ庵 2010-02-21 19:22:40
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