拾得
岡部淳太郎

生まれる
ずっとまえから
さまざまの小さな
かけらたちがあつまって
この心身をかたち
つくってきていた
それらの小さないのちたちの集積で
ここにいるほどよい大きさのいのちがある
その後も時を生きて
歩きながら
道端に落ちている
枯葉のような小さなものを
拾っては内側にためこみ
過ごしてきたのだ
母親が幼い子に手編みの
セーターを編むように
何か大きなものによって
あつめられては縒り合わされて
みんなここにいるのだった
やがて冬を告げる風が吹き
何かがばらばらになって落ちると
それらをまた拾いあつめる
そのようにして私が
生まれる



(二〇〇九年十一月)


自由詩 拾得 Copyright 岡部淳太郎 2010-02-17 23:21:34
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