収穫
合歓木

  *

それなりの道具を使い
ぐっすりと眠るだけの
疲れがあった
遠き日の村境
名もないわたしたちの
リアカー

人と生業があり
忍び泣く声も聞こえず
野辺や軒先は
ゆっくりと暮れ
小鳥たちも足りていた

  *
竿燈がすぎ
盂蘭盆になっても
おまえはまだ
帰ってこない

風はすでに海を渡り
ツンドラの秋を
吹きぬけているのに

不妊の都市で
棒立ちのまま
どのような稔りの秋を
迎えるというのか


自由詩 収穫 Copyright 合歓木 2010-02-13 13:50:41
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