冬の音楽 
服部 剛

夕陽の(目)が覗いている 
冬の桜の樹の 
曲がった枝の、隙間から。 

張り巡らされた根の、喰い込んだ 
芝生の周囲に 
誰が蒔いていったのか 
白い御飯粒を啄ばむ 
雀等が、音符になって、跳ねている。 

(嗚呼、黄昏の音楽が 
 辺りに染まってゆく・・・) 

桜の裸樹は、まことに独りの、指揮者である。


自由詩 冬の音楽  Copyright 服部 剛 2010-01-20 22:51:17
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