遺影の聖母
服部 剛

思いの外に、駆け足で 
逝ってしまった友の遺影が 
ひとりの聖母に視えた時 

地上に取り残された者のように 
棺の前に立ち尽くす、喪服の僕は 
掌をそっと、胸にあてる 

絶え間無く鼓動する 
この、命というものを 
これから何に、使おうか・・・? 

遺影の額から 
微笑む聖母となった友に 
僕は只跪き、両手を合わせる。 





自由詩 遺影の聖母 Copyright 服部 剛 2010-01-12 19:49:25
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