Blue Heron
月乃助



大さわぎでなく
ゆっくりと歩む
足の裏に感じる砂の感触を確かめ
けして温かくないけれども
柔らかく反発してくるようなそれを
一足一足 注意深く進まなければ、
見逃してしまうことなど
きっとたくさんあるのだから
ほんの少し息を継ぎながら
静か過ぎるほどに
夢も望みもいだきはせずに
遠くでなく 足の先を見つめ
次の一歩のその行き着く先を 自分のためにする
細い足が蹴爪をみせるのに 誰も気にもしない
恥じらいでも ためらいでもなく
勇気さえでも けしてなく
それでいて、進むことはやめずに
なにかを願おうと そうでなかろうと
生きることは与えられた
わずかな音が耳についてはなれなくても
それが何かを確かめる必要もない
みずからの影に少しの間、どきどきとしながら
それが本当に自分のものかを判別しては
背に受ける陽の温かさを感じている
それだけで、幸せになれるのかもしれないし
多くを考えず、計算高くなることもできず
また、ぶきように足元を見つめて進む
そんなことは、ここでは
誰もがしているなどと 気にもせずにいるなら
自分の歩幅で歩くことだってできるはず
それが、許されるのではなくて
それを望むのでもなく、自然に
でる足の行き先をただ、ほんの少しばかり
ありがたがって
生きている







自由詩 Blue Heron Copyright 月乃助 2010-01-10 17:20:06
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