初雪
たもつ
硬質に濁ったゼリー状のものの中で
僕らの天気予報は
軋み
軋んだ音をたて
初雪が観測されたことを
伝えようとしている
子どもたちが歩道橋から次々に
ランドセルを落とす遊びをしている
散らばった教科書のページは
鳥になって空へと羽ばたく前に
そのほとんどが車にひかれてしまう
伝えたいことは増えていくばかりなのに
すべてを伝えることなく
僕らの肉体は正確な脆さで
朽ち果てていく
寒くなったね、と
もう呟くことしかできない
珈琲豆を挽く懐かしいあなたの手の甲に
今年初めての雪が
降り積もっている