オロオロなボデイガード
草野大悟

ビールをコップ三分の一くらい飲んで
ほろ酔い加減になったきみが急に
散歩に行く
と宣言し
最近越してきたばかりの
夕暮れの町並みに
とことこ歩き出すから
ボデイガード替わりのおれは
オロオロついていく。

うさんくさそうな書店の前に来ると
これまた急に中にはいるから
ボデイガードとしても
いちおう中に入って
ウッと
目が点になっているときみは
小さな体一杯に好奇心を充満させ
手を後ろに組んで
ふむふむと探偵していたかと思うと

ね、これヤバイビデオよね
イカガワシイビデオよね

と、店主が座っているレジの前で
言うもんだから
店内でヤバイビデオを物色していた
気弱なおじさん達は
一瞬ハニワ顔になるし
店主はエンマ顔になるわで
ボデイガードとしては
またオロオロするのだけれど
きみはお構いなしに

も、帰る

と言い残して
さっさと店外にでてしまうから
ドモドモ
などまぬけな挨拶を店主に残し
またまたオロオロ外に出ると

あっ、金星

と夕空を見上げて
風に吹かれている。







自由詩 オロオロなボデイガード Copyright 草野大悟 2004-09-17 00:01:12
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