蝶と呼ぶにはあまりにも大きな黒い羽を蝙蝠と見間違い
「哺乳類なら子をうめるのでしょうね。」
そう信じたいわたしは心臓から大腸までを綺麗に束ね、
唇で結わえて感覚的スイッチを押した。

on

試運転の合図をおくり、生命の目的をリズムとして
擬似音で正しく刻む。

ｏｎ　　　　　　　　　　　　　　　　ｏｎ
ｏｎ　ｏｎ　　　　　　　　　　ｏｎ　ｏｎ
ｏｎ　ｏｎ　ｏｎ　　　　ｏｎ　ｏｎ　ｏｎ
ｏｎ　ｏｎ　ｏｎ　ｏｎ　ｏｎ　ｏｎ　ｏｎ
ｏｎ　ｏｎ　ｏｎ　　　　ｏｎ　ｏｎ　ｏｎ
ｏｎ　ｏｎ　　　　　　　　　　ｏｎ　ｏｎ
ｏｎ　　　　　　　す　　　　　　　　ｏｎ
ｏｎ　ｏｎ　　　　　　　　　　ｏｎ　ｏｎ
ｏｎ　ｏｎ　ｏｎ　　　　ｏｎ　ｏｎ　ｏｎ
ｏｎ　ｏｎ　ｏｎ　ｏｎ　ｏｎ　ｏｎ　ｏｎ
ｏｎ　ｏｎ　ｏｎ　　　　ｏｎ　ｏｎ　ｏｎ
ｏｎ　ｏｎ　　　　　　　　　　ｏｎ　ｏｎ
ｏｎ　　　　　　　き　　　　　　　　ｏｎ
ｏｎ　ｏｎ　　　　　　　　　　ｏｎ　ｏｎ
ｏｎ　ｏｎ　ｏｎ　　　　ｏｎ　ｏｎ　ｏｎ
ｏｎ　ｏｎ　ｏｎ　ｏｎ　ｏｎ　ｏｎ　ｏｎ
ｏｎ　ｏｎ　ｏｎ　　　　ｏｎ　ｏｎ　ｏｎ
ｏｎ　ｏｎ　　　　　　　　　　ｏｎ　ｏｎ
ｏｎ　　　　　　　　　。　　　　　　ｏｎ
ｏｎ　ｏｎ　　　　　　　　　　ｏｎ　ｏｎ
ｏｎ　ｏｎ　ｏｎ　　　　ｏｎ　ｏｎ　ｏｎ
ｏｎ　ｏｎ　ｏｎ　ｏｎ　ｏｎ　ｏｎ　ｏｎ
ｏｎ　ｏｎ　ｏｎ　　　　ｏｎ　ｏｎ　ｏｎ
ｏｎ　ｏｎ　　　　　　　　　　ｏｎ　ｏｎ
ｏｎ　　　　　　　　　　　　　　　　ｏｎ　　　　　　　　　
ｏ
ｎ
ｏ
ｎ
ｏ
ｎ
ｏ
ｎ
ｏ
ｎ
　o
n
no　　

no
それは落下です。
黒い羽は蝶でも蝙蝠でもなく無機的な傘でした。

落下しながら夜を透かす球状のわたし、雨で形容される子宮が、
つるんとした闇の上で無数の水滴とｼﾝﾊﾟｼｰで繋がりあっていく。
わたしたち、ひとりひとりの女が連なって、ひとりの女として闇の底で息づく。
発光し引力を帯びて、ゆ、する。


moon
雨の夜、月に向かって吠えるのは、狼ではなく女です。
（泣いている、の？）
「生まれない、なんてね。　かえりたいの。」
月を起点として3720日目





ねぇ、まだ？









off