ブルーバード
フミタケ

君の瞳をみつめると
僕の中の何かに火がつくのを感じる
口づけも交さずに
君が恋人の街へ行くのをただ見送るだけで
見上げたアトリエの壁の絵には
紫の炎が燃え上がるから
なにが描いてあるのかわからなくなる
夜の森をひとり車走らせれば
田舎には暮らせないと言った君の声
何でも君の言う通りだった
君に任せれば2人の大抵のことは上手く行くのに
時々僕は、置き場のない寂しさを
怒りや不満にして忘れようとしていたんだ
過ちだといってしまえばいい
自分を責めたりしないでいいさ
奪いさってしまうことができない僕は
君のともだち

去っていく君をみていた ねぇBlue Bird
僕はここからこの時から止まったまま
でもしっているよその粉々になった心を
待ちわびた日々と 一日の終りの夜を見るその目は乾いている
塩味のきいた雨が降り出してバスは淡島通りを行き過ぎる
何でも君の言う通りだね
君に任せれば大抵のことは上手く行くけれど
それが2人にとって辛いことだなんて
明日の歌も幸せのメロディも聞こえない
聞こえるのは鳴り響く太鼓
それは慕情 それはすべりだす準急
濡れたスウェードシューズ
君がくれた揺れる心が 
床をひとつ踏み抜いて 閉ざした心を許していく
薄い氷の上でどうして今はこんなに穏やかな気持ちなのか
どうして乾いているのか濡れているのかもわからないのか
君の瞳をみつめると
僕は背骨から何かが爆発するのを感じる
過ちだと言ってしまえばいい
自分を責めたりしないでいいさ
たとえ他の誰かに恋しても
忘れ去ってしまうことができない僕は
君のともだち


自由詩 ブルーバード Copyright フミタケ 2009-10-25 23:45:23
notebook Home 戻る  過去 未来