オクトパス・ガーデニング 詩人公衆便所
海里

街中でトイレを探していて
コンビニよりも近くに公園があって
なにやら小奇麗な
新築されたばかりらしい小さな建物

飛び込んで間に合ったまでは良かったが
出るときになって気がついた
「詩人公衆便所」

詩人による詩人のための詩人自身の
ドミニオン
じゃなくて公衆便所

詩人専用なんだろうかね
どうしろっていうんだろうね
大と小と詩人か

でももう使わせてもらっちゃったし
瀬に原は帰られないから
(この語変換って、ちょっと詩っぽい?)
(やっぱりただの、誤変換かな?)

個室に入りなおして
トイレットペーパーを引き出して
こちょこちょっと詩を書いて
巻き戻して出てきたよ

次の人はさぞかしびっくりするだろう
傑作って訳ではないが
こういう処によくあるいたずら書きとは絶対に違う
力作

こちょこちょっていうのは
詩咲くに対する姿勢ではなく
筆圧のことね
何しろトイレットパーパーだからさ
(詩作ならぬ詩咲くならぬ紙裂く、なんちゃって)

中国や韓国では
漢字で便紙って手紙のことなんだって
思いがけない便りって言うもんね

トイレっていうのは
お腹の便りを聞くところなんだし
詩人の声を聞くのもよかろ

よく見るともう既に色んな片隅に
かたすみやかな詩が書かれている詩人公衆便所
まだ新しいのにね
先が楽しみだよね


自由詩 オクトパス・ガーデニング 詩人公衆便所 Copyright 海里 2009-10-03 22:51:44
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