傀儡使い師/ぜったい壊れちゃってる時計
海里

進みがちだったり
遅れがちだったりする時計も
おおまかに言って日に二回ほどは
正確な時刻をしめすもの

そういうわけなのに
その時計だけは意地っ張りなので
狂っちゃった以上はどうしても
24時間ずっと狂ったままでと思ったらしい

自分の文字盤と
同じ時刻が近づいてくるとね
えいやぁってね
なけなしの力をありったけ振り絞って
ちょっとだけ後にジャンプ

秒針とか長針とか
短針もだけど
時刻は前にしか進まないものだから

胸の中の鳩時計
その鳩時計の中のハトたち、ハートたち

天象時計としての真昼下がりの虹も
台風の竜頭も
ほら
時もまた触れて、震えて、ふえるものだよ


傀儡使い師たちより。


自由詩 傀儡使い師/ぜったい壊れちゃってる時計 Copyright 海里 2009-09-24 20:51:01
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