走馬灯
葛西曹達

空一面のオーロラ
グランドキャニオンの夕陽
アマゾンの流れ
サモアの絶海

街を闊歩するゾウ
野生のホタルの群れ
求愛するクジャク
色とりどりの熱帯魚

どこまでも続く道路
天まで届く摩天楼
未完の大聖堂
大きな大きなお墓

チェルノブイリの残骸
リリウオカラニの唄
ダヴィンチの肖像
モンテンルパの夜更け

僕しか見れないような
壮大な走馬灯を
作り上げるために
いろいろ見てきたのだった

だけど実際に見えたのは
旅先で出会った
人々の笑顔だった

強く印象に残ったものが
走馬灯として映るなら
僕は今まで
何を探してきたんだろうか

いまこの世に
僕の体は存在しない
その代りにあるのは
僕の残した旅行紀

文字の向こうに眠ってる
たくさんの笑顔と
たくさんの優しさに
また会えるかな?

その時まで
僕は景色の無い街で
暮らしていくとしよう
必ず帰ってくるよ


自由詩 走馬灯 Copyright 葛西曹達 2009-09-24 20:46:21
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