セル
umineko

私たちは独房だ
私たちはセルロースの
薄い被膜で隔てたままの

私たちが抱き合ったり
やわらかな場所
探し当てたり

セル
私たちは独房だ
世界は私を番号で呼ぶ
間違いではなく
それは正しい

細い
鉄格子の隙き間から
私たちは手を伸ばす

届いたような気分になって
少しだけ
眠れる

もう一度問う
あの、私は
何の罪を犯しましたか

じゃらじゃらと
鍵音が響く
無言で遠ざかる
いつも同じだ

セル
少しづつ
水位が上がる
私たちは水没する

そのとき
私の指は
鉄格子の隙き間から

私の
呼吸より少し
生き延びるだろうか

薄れゆく
意識の中で
あの日の
遠い線路の音を

私は
思い出すのだろうか
 
 
 


自由詩 セル Copyright umineko 2009-09-19 08:06:10
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