腕輪
ゴースト(無月野青馬)

立ち尽くす
十字路で
しゃがみ込む
十字路で
何かを落としたようで
何かが零れたようで


しゃがみ込んで見ても
何も見当たらない
手探りしても
何も掴めない
確かに、零れたような気がしたのだけれど


思い起こすと、こんなことばかりだったような
こんなことしかなかった毎日に思える
気付かない内に
何かが無くなっていて
気付いた時には
大半が亡くなっているような


改めて「私」を見ると
コートの中は隙間だらけ
骨身を晒し、枯れ木のような黄土色をしているばかり


森へ行こう
その瞬間
そう思った「私」
立ち上がって
十字路を抜け出そうと
立ち上がった「私」
また、何かが零れたけれど
しゃがんだりはしない
「私」を
土に埋める為の、決意を込めた立ち上がりだから
だから


たぶん、きっと
幾ら時間を掛けても
「私」は、土に還らないような気がする
きっと、掘り起こしてみたらビーズみたいなんだと思う
掘り起こしてもちっとも古臭くなんかなくて、きっと、真新しい光沢があるんだ、たぶん
だからさ
誰かがそれを腕輪にしてよ





自由詩 腕輪 Copyright ゴースト(無月野青馬) 2009-09-09 23:53:50
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