開口一番での即興トークより。 
服部 剛

 今晩は。久しぶりの開口一番、とてもいい雰囲気で、嬉しいです。えぇ〜・・・(ギターの方は)お名前何でしたっけ?〜「○○です」〜あぁそうですか、○○さん、BGMの演奏は、どんな注文を出してもいいんですよね?(ニヤリ)〜「えっえぇ・・・まぁ・・・」〜あぁそうですか、じゃあですね、「おくのほそ道・洋風版」でお願いします(客席・笑)えぇまぁ適当に話してるんで、適当にやってください。 


 昨日は在りし日の松尾芭蕉が「おくのほそ道」の旅に出た、隅田川のほとり辺りでイベントがあり、芭蕉さんが住んでいた芭蕉庵はもう無いけれどその場所に「芭蕉稲荷」というのがあって、赤い小さい鳥居を潜って ぱん ぱん と手を合わせたんですけど・・・人生最後の旅に出た芭蕉さんは隅田川のほとりで船に乗る時、親しい人々に見送られ・・・芭蕉さんは・・・・僕等は・・・人は・・・旅に出る時、仲間達に見送られながら、その時、人は・・・何を思うだろうか・・・深夜一時半、僕は隅田川のほとりを歩いていた。芭蕉さんかぶれの、芭蕉さん気分で、芭蕉さんになれずに、ひたすら隅田川のほとりを歩いた深夜一時半。 


 両国に、ネットカフェがあってよかった・・・そこでぐっすり眠り、目覚めた朝に、一年前の夏両国で、今は亡き詩友に捧げた一生忘れない朗読を思い出しながら、乗客ひとりのバスに乗り、浅草・雷門へと向かう。 


 浅草の老舗の蕎麦屋で、敬愛する在りし日の作家が坐っていた座敷の席をみつめながら、熱燗をひっかけ、小皿に乗ったツマミの味噌が美味くて、(朗読してる)今も(ここで飲んだので)酔っ払って、少し恥ずかしくて・・・〜その後銀座線から半蔵門線に乗り換えて、地上に出た神保町のレトロな珈琲店の地下で、白髪の、七十五歳マスターは言った「ここでは珈琲も売っているけど、夢も売っているんだよ・・・」 


 そして今、この舞台にこうして立っている・・・じゃぶじゃぶの靴下で、靴で、じゃぶじゃぶの足音で、じゃぶじゃぶの全身で、じゃぶじゃぶのまんま、ただよって・・・ただよって・・・ただよって・・・辿り着いた、今夜のPlug・・・ただよって・・・ただよって・・・それぞれの日常を、物語を、ただよって・・・毎月第3日曜日、笑いと涙のBen'sCafe・ぽえとりー劇場に、みんな来てくれたら、嬉しいなぁ・・・(客席・笑)・・・あ、宣伝しちゃった、ゴメンナサイ、開口一番最高・・・! 





散文(批評随筆小説等) 開口一番での即興トークより。  Copyright 服部 剛 2009-09-01 23:03:11
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