アストロン
ゴースト(無月野青馬)

動かない少年
岩のように
動かない少年
中心核光るのみ


<この世界>の住人達は絶えず動いている
パンを得る為
家を守る為


かつては動いていたが今は動かない少年
絶えず動かない
パンは得ない
家は持たない
動かない少年は
その代わり
誰も傷付けない
誰も蹴落とさない
雑草の汁を塗ったトカゲを焼いて食べ、雨水を貯めて、レインコートを着る
動かない少年


動かない少年
雨の日は雨の調べを聴く
岩のような心に染み込む雫の音を感じ、じっくりと時を過ごす


洞窟のように暗い部屋の中で
貯めた雨水を飲みながら
動かない少年は
遺産のラジオでニュースを聴く
流れてきたのは心中というワード
動かない少年は
今日も1日、洞窟の中
空を仰ぐ事もなく、レインコートを着て過ごす
中心核、無駄に光る
何かが寄って来るかも知れない





自由詩 アストロン Copyright ゴースト(無月野青馬) 2009-08-29 02:23:11
notebook Home 戻る  過去 未来