ドリームハイツ行きのバスに乗って
服部 剛
駅のホームから
見上げた丘の絶壁に
ひとりの
向日葵
(
ひまわり
)
はまっすぐに立ち
遠くから僕へ
小さい太陽を咲かせていた
*
昨晩、不思議な夢を見た
照明灯に照らされた
舞台の闇に
向日葵の姿をした友が
背骨の茎を
圧
(
へ
)
し折られ
蹲
(
うずくま
)
っている
「 何も言うことなんかない、
這い上がるんだ・・・ 」
音の無い声援を贈れば
「 お前もな・・・ 」
と切り返す太陽の顔をした友の
元気な頃のニヒルな声が
無人の観客席に
木魂
(
こだま
)
して、目が覚めた
蜩
(
ひぐらし
)
の合唱が山々に響いていた
*
額に汗を滲ませ、バス停に突っ立っていたら
「 ドリームハイツ行 」のバスが来て
( 夢の家への旅・・・ )
こころの声で呟いて
いつもと変わらないバスに、乗り込んだ
自由詩
ドリームハイツ行きのバスに乗って
Copyright
服部 剛
2009-08-11 18:12:29
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