ただようひと
服部 剛
一体どんな違いがあるのだろう?
夏日の照りつけるアスファルトの上
ゆらゆらと
陽炎
(
かげろう
)
になって今日の食物を探す
あの家のない人と
駅の構内に日がな坐り
10円玉を宙に投げては
表と裏の確率を
破れかけのノートに記録する
あの
襤褸着
(
ぼろぎ
)
をまとう人と
ほんとうの幸いとは
たぶん愛という
口にできない食べものです
陽炎になって歩く人とすれ違い
坐って10円玉を投げる人を横切り
虚ろな僕の瞳は今日も
ありふれた日々に時折きらりと光る
ほんとうの食べものを探して
街の何処かを漂っています
自由詩
ただようひと
Copyright
服部 剛
2009-07-26 22:42:33
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