情歌(ジョーカ)
……とある蛙


もう何年君のそばで本を読んでいるのだろうか?
もう何年君のそばで寝ているのだろうか?
もう何年君のそばで食事をしているのだろうか?

僕は無口になって黙々と食卓に向かう。
僕は無口になって黙々と箸を動かす。
僕は無口になって黙々と飯を咀嚼する。

もう何年こうした生活を続けているのだろうか。
僕は唖然としているのだ。
僕は呆然としているのだ。
こんなに長い時間君と一緒に過ごせたことに驚いて!

こんなに長い時間君と一緒にいることは
僕を怠惰にしてしまって なんと言うことか
僕を無口にさせてしまった。

あと何年こうして君と過ごせるのだろうか?
あと何年君のそばで寝ていられるのだろうか?
あと何年君のそばで食事をしていられるのだろうか?


僕はそれを思うと唖然としてしまうのだ。
君と一緒にどれだけの時間が与えられているのかを思うと。

僕はそれを思うと呆然としてしまうのだ。
与えられている時間が意外と短いことに気づいてしまって。


ふと一人になったとき
ふと気づいてしまったことに驚いて
涙があふれ出てしまうのだ。
あふれ出た涙が止まらなくなってしまうのだ。


自由詩 情歌(ジョーカ) Copyright ……とある蛙 2009-07-25 14:37:22
notebook Home 戻る