四季彩/夏
遊佐




 *
季節の隅に置き去りにされた白い砂に刻んだ足跡が
風に運ばれて遠く旅立つ
情熱だけが高く舞い上がり青い空の藍に溶け込んで行く
白い雲の切れ間に漂う残像は
光の露となり
沸き立つ夏に飲まれてしまった

梅雨が明けた
鴎の群れには暫くはお目にかかれそうもない

 *
白い肌に残った傷跡が360度透き通った朝に覚めて行く
鎖骨の上に線を残して夏が証を残そうと言い寄って来る
パチパチと弾けた夜の思い出の痕だけが痛くて眠れない
誰かの足跡を誰かが踏みつけて消してしまう波乗り達の軽快で危うい季節

新しい波に乗る為には焼けた砂を渡らなければならないのでしょ?

 *
炎天下に投げつけた想いは揮発油のように、直ぐ様、蜃気楼に溶けて逃げ水の水になる
パステルカラーが太陽とオゾンを吸い込むと
ほら、街は原色の風景画に様変わりして
忘れようともがいていた哀しい記憶も波の下に沈んで消えた
僕らは板の上
一瞬の中を漂う永遠を探して腰を振る

夏がやって来た
去年より熱くなれと祈ってる
去年より暑くならないでと祈ってる





自由詩 四季彩/夏 Copyright 遊佐 2009-07-11 19:54:03
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