上澄み論
あ。
上澄みをそっとすくう
余分なものはなく
柔らかくしなやかで
手のひらからさらさらとこぼれる
太陽の光で酸素を作り
葉は濃緑を強める
表面の細い産毛には
小さな雫が張り付いている
全部、どこか
遠いところの出来事のようで
本の中のお話のようで
たくさんの直線に囲まれて
それはとてもよく出来ていた
プラマイゼロにするために
帳尻を合わせるために
ねじれ曲がるしかなかった
そんな言い訳もひねくれていて
きちんと目を開いたら
出てくるはずのない言葉なのに
ね。
ぼくたちは
綺麗なものを知るために
生まれてきたのだと
多種多様の愛情を見つけるために
生きているのだと
そう思ってしまうのは
それこそ上澄みの思想なんだろうか