海と太陽

どこまでも真っ直ぐな鏡の海の上
白い太陽がじりじりと照りつける
あなたは泣いているのか
何も映さぬはずの瞳に白い太陽を宿し
ここにゆらゆらと漂うのは私とあなただけ

臍帯のような舫綱にお互いの魂を繋がれて
ゆらゆらと漂う同じ顔の二人
あなたは泣いているのか
助けを求めた神が与えた結末に
動けないあなたと流されるだけの私
始まりも終わりもないこの永遠の苦痛の中で
過去からの願いは今私の手の中で
銀色の刃物に姿を変える

あなたの切り裂かれた左胸から
吹き出す赤い絶望の水の色
ゆらゆら漂うこの世界のすべては
天秤の紐が切れて終局へと滑り落ちてゆく
やがてあなたは静かに飛ぶ
赤い想いを滴らせながら太陽へと飛ぶ
そして私は静かに沈む
鏡の海の水面を赤い水が文字を綴り
私は沈みながらその字を読もうとする

私の未来をすべてあなたにあげよう
あなたと苦しみと引き換えに私の未来をあげよう

白い残酷な太陽に吸い込まれて
あなたはもう影さえも見えない
けれどまた静けさが戻ってきた頃に
海面越しに見える白い太陽の中で
私と同じ色のあなたの瞳は
両手を広げたまま海底で
黒い十字架になって燃えている私を
静かに映し出すだろう


自由詩 海と太陽 Copyright  2009-04-24 01:18:37
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