渚のリフレイン
atsuchan69

切ない夜を波濤の数だけこえて
やおら滅びゆく貌(かたち)のように虚しく、
何処までも果てのない君とともに
歌うべき僕たちの言葉が見つからない

伏せた漆黒の虚しさは朝日を浴びて
いつしか濡れた砂浜を僕は歩いていた

やがて波にもがく一瞬が崩れ、
――ふと、ふり向くと、
幼い、もうひとりの僕が泣きながら
ただそこに、じっと立っているのを見た

そしてふたたび一瞬が崩れ、
いつしか僕は夜となって街をさまよう

切ない夜を夢の数だけこえて
儚く、君のいない朝がやってくる
大勢の立ち止まった僕が、
今も見つからない言葉の歌を口づさむ。

仄暗い吐息は、たちまち潮風に消えて
海鳥の群れとぶ海岸線を僕は歩いている

虚しい足跡を点々と砂に残して
切なく、とおく何処までも
美しく果てのないリフレインとともに
大勢の歌うべき言葉が見つからない

やがて虚しさは潮風を連れて
いつしか履(くつ)もなく裸足で――
ただ、一瞬と戯れる君とふたり
美しく果てのない渚を何処までも歩く





自由詩 渚のリフレイン Copyright atsuchan69 2009-04-21 01:51:34
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