四季の風
岡部淳太郎

四季の風がやわらかく
吹いてきてもはや空は
やわらかさのためにぼろぼろと
崩れ落ちそうだ
それぞれの四つの季節が
前後左右から風を吹かせ
大地は反り返り鉄塔は
まんなかでひたすら痒みにたえている
このやわらかさのためにもはや
信仰の道に立ち止まるしかない
やわらかい人々の笑顔のために
すべてが腐敗しては通過していく
風は追いつくものではなく
追いやるものであるべきだ
その速度をまき戻して次から次へと
移り変る花の記憶をながめる
やわらかさの中にある
この平和な世界よ
隠しきれないもののために
ますます栄えよ
四季の風が吹く
ふさがれたやわらかい
破れない膜へ
破れない
私はかたい殻



(二〇〇八年十月)


自由詩 四季の風 Copyright 岡部淳太郎 2009-04-09 17:19:31
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