春への一歩
舞狐

私の苦手な春がやってくる

暖かい風に誘われ
木々が芽吹き
やわらかい日差しに
恋が飛び跳ねる春

陽気な笑い声に
振り向けば

そこには春がいた


ガラスの向こうなら
我慢できたのに

画面の中なら我慢できたのに

春は私の背中にぴったりとくっついて
ケラケラと笑っていた

一緒に笑えない私を
嘲笑うかのように
ケラケラと
明るく陽気に笑っていた

春の風が
笑い声を響かせて
春の日差しが
笑い声を輝かせる

一歩を出せば
私も春の一員になれるのに

わかっているのに
出せない一歩
眩しすぎて出せない
春への一歩


自由詩 春への一歩 Copyright 舞狐 2009-03-21 12:59:38
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