輪廻の扉
浅井実花

輪廻の扉が閉じられて
誰も外へ出ることが出来ない
流れてしまった命の種に
名前をひとつひとつつけて
切ない思いをしていたね

終わらない世界には
輪廻の扉が必要で
わたしが死ぬ頃には
きっとあの子は生まれてくるはず

だったわ

だのに輪廻の扉が閉じられて
外へ出ることが出来ないの
さようならをした小さな命
さようならをしてしまった儚い命
ひとつひとつ名前を覚えて

わたしが命を真っ当するまでに
いくつもの命が生まれ
いくつもの命が沈み

今日も夕暮れ
悲しい涙を流す人たちを
遠巻きに静かに
輪廻の扉が開くことだけを信じて
見つめていたの

輪廻に果てはないのだから
世界が終わるまで
あの子に会える日まで
ごめんなさいを言う日まで
ありがとうを心から言う日まで

輪廻の扉が開くことを夢見て


自由詩 輪廻の扉 Copyright 浅井実花 2009-03-09 20:23:44
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