葉女
あおば

          090205




祐乗、光乗、宗乗、三作の三所物
カラマンダーのかけ声に
驚いた振りをすると
乾いた金明竹が笑いかけるので
知らない振りをして
姿勢を正す
風羅坊正筆の掛け軸を
横目に見ながら
57577を考える
新しい暗合を思いつく
小林一茶のように
雪の中で春を待つのではなくて
戦艦大和のような巨大戦艦の客となり
60センチの弾を込め

目が覚めたので
信号機の模型のデザインを
考える
昨日は
デジタルテスタが狂いだし
もう少しで誤動作を起こすところだったと
寿命が尽きないLEDを引きはがす
色むらがあっても構わないが
点検するだけでは
修理代が稼げないのが困るのだと
木偶人形の上司の指示に従って
外しやすい部品を外し
新しいのに取り替えて
テストする
お茶の時間が来たら
上司は
すぐに戻るので
急がなければならない
もう一人木偶人形を作らないと
私が忙しい
気に入ったスタイルの人形に
30代後半の作業員の青い服を着せて
ジオラマの中でも働くのだと
リアルアクションヒーローズの作業服を着せながら
こんこんと言い聞かせているうちに
新しい名前も必要だと気がついた
フィギュアの世界にも
毀誉褒貶があり
名前がないと相手にしてくれない
次年度になると
定額給付金ももらえるので
そのためにも
男らしい名前が必要だ
往復はがきに
宛先の名前が書いてなかったならば
どんなに寂しいことだろう
転送不要の文字を横目に
涙を流すだろう

毀誉褒貶といいながら
男の子の顔をして
木偶人形が
顔を背けて
小さく
泣いた









第1連、第1行、
祐乗、光乗、宗乗、三作の三所物
は、落語、「金明竹」より引用いたしました。









自由詩 葉女 Copyright あおば 2009-02-05 22:26:59
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