如月 
あおば

              2001/02/02




宿題すんだら水汲みに
宿題すんだら水汲みに
宿題すんだら水汲みに
宿題の五月は逆さまに
三月は四角にされて
二月の雪を隠してる
一月は耳の穴に吸い込まれ

バレンタインの祭日は逆さ吊り
ホワイトチョコを食い過ぎて
目覚めの時を失ったから
子供のままで子供を供え
巫女のご機嫌とりむすぶ
紙の台にシラス干

浅草海苔は消えていた
干拓事業の埋め合わせ
本マグロの大トロを
思う存分振る舞って
鯛や平目を養殖し
街の寿司屋は大弱り
回転寿司の繁盛は
彼我の格差があればこそ
アホダラ教のご神体
腐れマグロに塩振った
百年ものの塩辛で
幹部のつてで横流し
グラム単位で包装し
選挙の度に値が上がる

節分の豆に怯えたら
鬼は外のかけ声に
帰る住処も無くなった
子供の声は天の声
明日の食べ物無いからと
閉店セールの百貨店
入ったつもりがキャッチバー
グテングテンに酔わされて
あの世の隣で目が覚めた
帰るところは鬼の家
生皮クルリと剥ぎ取られ
血まみれのまま座敷牢

鬼の居ぬ間に散歩して
鬼の住処に連れ込まれ
鬼の奴隷にされたまま
永久の命を保証され
金の卵を産む鶏の
おやつの餌として吊されて
太陽光線浴びたまま
目玉の中まで干涸らびる

如月は水売りの声がして
一椀の水では不足する
宿題すんだら水汲みに
隣の餓鬼も踏み殺せ









過去作





自由詩 如月  Copyright あおば 2009-01-26 21:16:20
notebook Home 戻る  過去 未来