悩みの意味が解らない
松本 卓也

何もかも解ったふりをして
相対論をただ受け入れていれば
物分りの良い紳士として評価されることくらい
知らないとでも思っているのだろうか

ただ私が幸せであればいい
ただあなたが幸せであればいい
それは一面の真実を確かに告げているけれど

僕はただ幸せになって欲しい誰かのためであれば
僕自身が不幸であっても構わないと言ってみたいだけ
そんな存在は今 何処にもいないけれども

表面が安定していれば良いだとか
ミクロな幸福観を形作れるのならば
誰だって平等に輝きを讃えることくらい
できるのは知っているけれど

去年まで知らずの内に香った金木犀の香りが
今年は一度も嗅ぐ暇もないまま冬の風音を迎えて
朽ちていく老いていく取り残されていく
ただただ打ちひしがれながら

誰をも受け入れようとしない人影は
夕暮れを背中に刻むことしかできないでいる
交差点に手向けられた花束を眺めながら
散るべきはこの無意味に年輪を重ねるだけの
他愛も無い存在だったではないのかい?

自分勝手だと笑われて
世界が狭いと嘲られ
固定観念に囚われてなお
孤独を選択している不可解さ

それぞれの中に当てはまりたくない訳じゃなく
ただそう在りたい等と気取りたい訳でもなく
意味は多分誰よりも僕が欲しているつもり
ただただ知って欲しいと願うのは
それほど贅沢な悩みかなぁ・・・


自由詩 悩みの意味が解らない Copyright 松本 卓也 2008-11-04 23:59:17
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