波と手
木立 悟





生きものと光を
行き来する生きもの
真昼に飲む水 音になる水


静かな明かりの目をした子に
わたす音はふたつある
明日の朝 霧が晴れたら
望むところへ進めるように


句読点
夜の哭き声
際でも辺でもない線の
隔たりのふるえを聴きながら
さらにそこに在ろうとするもの


砂のなかの光
降りはじめた雨
陽のはざまの陽
雨の上の羽
陽の上の声


片手から片手へ
見えないものを手わたす仕草が
ゆうるりと明るくふたつに分かれる
見つめる子
真昼の目
雨に洗われる砂


招くものに招かれ
海はふたたび満ちてゆく
ひらきつづける片手の列が
岸のかたちに並んでいる
生まれた日の熱と色
光のにじむ砂の上を
子の足跡はつづいてゆく


















自由詩 波と手 Copyright 木立 悟 2008-11-04 14:13:21
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