死のように ビールを飲みほせ
オイタル

秋空に
死のようにビールをのみほせ

おばあは杖つき
ひたいに手をあて
昨夜の枯葉を 掃きなぐる

とんびは横切り カラスは火を噴き
仕出し弁当
湯気立つやかん

空の屏風に飛行機雲が
紅葉模様の山々が

北風に
死のようにビールを飲み干せ

夜のおばあは
肩ひざ立てて
時の水辺をまたぎ越え

きらめくお前と
しわぶく俺と
一夜過ごして 夜露に濡れて
起きたばかりの 朝の隘路を
朝の隘路を
さむざむと

とっととたたんで
まくれてしまえ
おばあはお前で
とんびは俺で
障子の隙間に
死のようにビールを飲み干せ


自由詩 死のように ビールを飲みほせ Copyright オイタル 2008-10-30 22:49:11
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