俄か雨
ヒジキ
街で見かけた似た人は、
君だったように思う
黙ってすれ違うただの他人
心地良い夢だった
「覚めないで」と願っていた
夢であると気付いていたから
忘れたくて、
忘れたくて、
この苦しみも、僅かな心地良さえも
「夢だったらいいのに」と願っていた
現実であると知っていたから
(きっと帰ってくるだろう
あの約束を果たしに
そして、
君はまた言ってくれるだろう)
そんな期待を息苦しく感じたら
とうに信じてはいないだろう
街で見掛ける似た人は
君なのだろう
ただの通り雨なのだろう
私を濡らしいつの間にか消え止む
俄か雨なのだろう