アポトーシス
笹子ゆら

十五年間生きてきて
恋をしたいと言っておきながら
やっぱりそんなものしたくなくて
わたし、口をつぐんでた


教室内で女の子たちは
携帯小説の話題か自分の彼氏の話をし
男の子たちは髪の毛を立てて
訳の分からない遊びに励んでいる

わたしはそれに混じっているのかいないのか
それすら分からないまま
笑ったり笑ったふりをしたりしていた


好きだと思える人が出来たとき
この圧迫された空間を
青春と形容される時代を
いとおしい、と思えるのだろうか
あの人のことを話したい
そんな下らないことを考えて


そんな風に捻くれている
わたしは
異性を好きになれるということが
単純に
羨ましくてならないだけなのだ


好きだと思える人が出来たとき
あの人、が思い浮かぶとき

わたしは静かに呼吸をたずさえて
それを言葉にする術を知らないまま、多分
知ろうともしないのだろう


それが今なんだよ
わたし、気付け



自由詩 アポトーシス Copyright 笹子ゆら 2008-10-06 20:56:51
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