君の水脈
佳代子

水道の蛇口を捻ると
羽根飾りを着けた男の子達が飛び出してくる
あわてて掬って口に含むと
格子窓から漏れてくる明かりのような
ぼんやりとまたうっとりとした
現実に変わって
あたしの渇きを癒す
嘘! 乾いてなんかいないの
あたし ほんとよ あたし
なのに 水道の蛇口を捻ると
口がすぐそれにゆく
母胎回帰なのかもしれない
君の水脈があたしの体に横たわる
親骨のように冷徹で
柔らかな強かさが
あたしの細部をまさぐり流れる
潮が巡るように君はあたしを巡り
せつなくてあたし
水道管を抱きしめるのね
乾いてなんかいないの
かわいてなんか・・・・・


自由詩 君の水脈 Copyright 佳代子 2004-07-25 11:54:45
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