灯ろう流し
yo-yo

夏の終り
小さなローソクに火を点し
山深い夜の川を
ぼく等はすこしだけ明るくする

澄んだ水を飲み
あふれる流れを浴びて生きた
名もない魂が火となって
再び水に帰る

死んだ人との幾夜か
語る言葉もなかったけれど
火をともすと
光の言葉が見えた

生を明らめ死を明らむ
つぎつぎと灯は
わずかな瀬を照らしながら
闇の方へ消えていく

さいごの花火が美しく昇天し
夜の川がもどる
川上には
しずかに賑わいの街が残った





自由詩 灯ろう流し Copyright yo-yo 2008-08-29 07:56:33
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
風のことば