よあけ
船田 仰

父さん以外の男の人の声が
この夜の主電源を切る場合だってあるというはなし
そっちとこっちの境界線で途切れたのは
ただの嘘っぱちだ
タイム・ラグが絶対的な温度差をうんだりしても
変わらず貯金箱には573円があるのであって
何が言いたいかは別に言いたくない
ネバー・ネバー・エンディング

せんべつに
見慣れない日常茶飯事をメールしてください
いやむしろ
しらじらしい本音でかざられたバイバイだけでも
電話してください
あんたがハッピーかどうかには関心がなくて
ごみ箱に丸めてあった
血だらけのティッシュが象徴する
今でいっぱいのシンパシー
語れませんか
夜を共有することなんて
出来ないじゃないか


ああちっぽけな誘惑がふるえるぐらいの
言葉を吐けよ
そういう嘘を丸めた
ティッシュペーパーが真っ赤になる
素晴らしい言葉を吐けよ
しばらく立ち上がれないままで
ポケットを思わず探るくらいつながってみせろよ
電話越しの声がリズムになってしまうまで
そこにいてくれたというはなし
現実はいつだってありえることばかりだ
だからミネラルウォーターより健康に
眠らせてください
明日どこできみの不完全な足跡を
さがせばいいんだ
祈ればいいんだ


よあけ、バイバイ
舞い上がる灰がすべての真実をいろどっても
ありがとうで各駅停車できるほど
子供じゃない
こっそり抜け出したこの頭のなかで
あとどれだけの湿った声を
繰り返せば
ぼくはクリアになるんでしょうか
興味がないので
温度差についてもう一度考える
ぼくが
素晴らしい言葉を吐くということ
よあけごとに自らを定義しなおすということ
嘘ばっかりつくこと
真っ赤な目で
ほほえむということ


自由詩 よあけ Copyright 船田 仰 2004-07-23 03:07:58
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