遠い夏休み
nonya
すばしっこい背びれを追い回して
生ぬるい用水路を濁らせた
髪の毛の先から滴り落ちた汗
泥だらけの顔を笑い合った毬栗頭
ねばっこいフェーンの熱波を掻き回して
力任せに錆びたペダルを漕いだ
少し遠かったカブトムシの森
空の足元からせり上がった入道雲
胸の奥の砂だまりに埋もれていた
輪郭のたゆんだ遠い夏休みが
ゆっくりと昼休みの水面に浮かび上がる
汗をかいたグラスの中に潜んでいた
角のまるまった遠い夏休みが
ストローの問いかけを涼やかにやり過ごす
自由詩
遠い夏休み
Copyright
nonya
2008-08-14 19:19:12