耳のそうじ 
服部 剛

「はい、とれました」 
耳鼻咽喉科の看護婦さんが 
白い両手にガーゼをのせて 
ぼくの耳垢を見せてくれた 

「そんなにたまってましたかぁ」 

どおりで周囲の人の話す声にも 
聞こえが悪かったわけだ 

もしかしたら 
背後からぼくを呼びとめる 
誰かの小さい声を 
通り過ぎてしまった
かもしれない 

これからは 
日々出逢う人々の 
言葉の裏側に潜む 
本音さえも観えるよう 

しっかり 
耳のそうじを 
しよう 





自由詩 耳のそうじ  Copyright 服部 剛 2008-08-10 11:20:45
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