不透明な海の日
霜天

7月第3月曜日の海の日の海
砂浜から続いていく波打ち際の
海底はどこも見えない


なんだかんだともう夏なので
麦藁帽子が飛ばされたりします
何か動力でも付いていそうな勢いで
途中駅には止まりません
目的地にも止まりません
すべての隙間をすり抜けて
転がり続ける夏です

光る欠片を拾い上げている
波打ち際と子供達
湾曲したガラス瓶の欠片から
透かして見る空に
遠い外国のお話や夢を見ている
太陽光を反射して
彼らは光っている


砂浜に誰かが引いた線から
みんなが発進していく
ここから
スタートラインを蹴り上げている
お互いに挨拶を交わしながらすれ違いながら
スタートラインを蹴り上げている

単純な夏のかたちの海辺
不透明な海の、海の日の底から
毎日の世界を見上げている


自由詩 不透明な海の日 Copyright 霜天 2004-07-21 15:45:26
notebook Home 戻る