ポケット
望月 ゆき

退屈をにぎりしめて
おもてへ出た

そぞろ歩きのアーケード
レモンの駅のホーム
まわるバスターミナル
あと3日で実が落ちるびわの木

ドアの前についた時
にぎりしめていた退屈は
どこかに落としてきたようで
かわりにポケットで
何かざわついている

手のひらにのせると
それは
ころころと笑ったり
さめざめ泣いたりと
いそがしい

ポケットの恋に
まだ名前はない


あなたの名前をつけよう


自由詩 ポケット Copyright 望月 ゆき 2004-07-21 10:33:53
notebook Home 戻る