空に星が綺麗
木屋 亞万

幼い流れ星が
きらきらと
空を走り抜けて
尻尾のおばけ


太陽の十倍の速度で
7時半の闇の中を
そろりそろり
笹船と競争するように
流れ流れていく星
真っ直ぐ進まないと
いけないという
ルールなんかなくて


小さな島から
大きな島まで
あらゆる島の人たちが
手持ち無沙汰で
夜空を見上げ
ただぼんやりと
月を眺めている
 ところを想像して
 微笑む


眠る前の
真空の頭で
話す言葉が
ひやりと
誰かの耳元へ
流れ流れて
夢の呼び水にでも
なればいい


流れ星のかけらが
滑らかな粒子になって
人間の知らないところへ
染み込んでいく
世界中の島という島に
住む人たちが
一緒に空を見ていて
同じ流れ星に
心を奪われていく
 幻想に
 微笑えんで


世界が終わってしまうのではないか
と不安になるほどの
一体感を覚えた
安らぎの余韻
忘れられないまま
眠ってしまうまで
空を見ている


幼い闇のなか
あどけない流星を見た
人間の知らない風景と
すれ違ったような
 夢を見て
 眠る


自由詩 空に星が綺麗 Copyright 木屋 亞万 2008-07-29 01:17:39
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