あの子のあの頃
木屋 亞万

汗っかきな子でねぇ
いっつも首にタオル巻いて
シャツの首元なんかすぐに
茶色くなっちゃってねぇ
ほんと汗ばっかりかいてたよ

あの子の座ってた石は
すぐにわかったな
お尻の形に濡れてて
顎から垂れた汗の跡が
砂に残ってたっけ

夏は暑いもんだって
クソ暑い中走り回って
麦茶がぶ飲みして
腹壊して夏バテして
それでも朝には元気よく
出掛けて行ったよ

 あなたの事を尋ねると
 みんな夏を思い出す
 夏は暑いものだからと
 暑さも汗も涼しさも
 丸呑みするように
 無邪気に笑う
 いつも生き生きと
 存在していた

今でもあの子のシャツはね
汗でビショビショになるから
タオルと一緒に洗っているの
みんな気持ち悪がるけどね
私は好きなんだ、あの汗
洗いがいがあるしね

今でも石にはあの子の跡が
残ってたりするもんだから
みんな驚くんだけど何かねぇ
安心するような部分もあるかなぁ

麦茶がね減ってるのよ
朝起きて冷蔵庫見たら
だからいつ減ってもいいように
麦茶をいっぱい冷やしてある
腹壊してないといいんだけど

 あの子はずっと中学生
 あの頃のまま中学生


自由詩 あの子のあの頃 Copyright 木屋 亞万 2008-07-26 17:59:45
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